6.語源学習はどのくらい効果的なのか?
以上のように、語源で単語を覚える方法には、未知語を推測したり、意識的に語彙を増やす際に、非常に効果的であることが判りました。しかし、語源による英単語学習は、実際にどのくらい役に立つのでしょうか?
結論を言うと、大雑把にいって、英単語の3つに2つは語源の知識を活用して学習することができると考えられます。この数字がどこから出てきたかをご理解いただくために、英単語の全体像に関するお話を少ししたいと思います。
英語の語彙は、大きく分けて、@ゲルマン語起源の語彙、Aラテン語・ギリシア語起源の語彙という2種類に分けることができます。語源の知識が役に立つ語彙の大部分は、Aのグループに分類されるような英単語です。ここで、ある統計によると、ラテン語・ギリシア語起源の語彙は、英単語全体の約3分の2を占めていると言われています。ゆえに、先程の「3つに2つ」という数字が出てきたわけです。
とはいえ、皆様の中には、「今まで、語源なんか意識しないでも英単語は3,000も4,000も覚えてきた。だから、これからだって、語源なんか知らなくても大丈夫だ」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。確かに、中学校、高校の英語の授業では、語源による英単語学習を指導している例はあまり多くないようです。それほど有効であれば、語源による単語学習が、文部科学省の検定教科書に出てきて、全ての中学、高校で教えられているとしても不思議ではありません。
実を言うと、中学、高校で語源による単語学習がそれほど重視されていないのには、理由があります。それは、語源学習は中学・高校で学習するような基礎的な語彙には、それほど効果を発揮しないからです。
どういうことかというと、英単語は@ゲルマン語起源の語彙、Aラテン語・ギリシア語起源の語彙という2つの大きなグループに別れると書きましたが、生活に密着した基礎的な単語ほど@の単語が多く、知的・学術的・専門的な語彙になればなるほど、Aに分類される単語の割合が多くなることが知られています。中学・高校で語源学習が強調されないのは、中学・高校で学習される語彙の多くが@に分類される語彙であり、語源学習のメリットがほとんどないという理由によります。皆さんが、今までに語源を意識することなく3,000〜4,000語を習得できたというのも、まさにこの理由によります。
しかし、TOEIC、TOEFLの試験や、英字新聞や、専門的な文献など、抽象的な話題を扱う英文に目を向けてみると、Aのグループに該当する語彙が飛躍的に増えてゆきます。Aに該当する英単語を、今までのような丸暗記に頼る方法で1つ1つ覚えてゆこうとしても、いつかは必ず壁にぶつかってしまうことでしょう。中学・高校レベルの英語力から脱皮し、更に一段高い英語力へのステップ・アップを目指される皆さんには、語源による英単語学習法を是非マスターしていただきたいと思います。
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