第3回 マジック・リスニングの効果検証実験
とはいっても、私の個人的な感覚だけでは測りきれない事もあるでしょう。そこで、私はマジック・リスニングの効果を測定する為に、ある実験を行いました。
それは、植田一三先生が出している「TOEIC
TEST
これ1冊で860点突破」というTOEIC対策本の模擬試験中のリスニング問題をマジック・リスニング体験前、後にそれぞれ解き、点数にどれだけの変化が見られるかを見てみよう、というものです。
私は自分が留学する2年ほど前にこの本のリスニング問題を解いてみましたが、その時は100問中69問しか正解できませんでした。
TOEIC関連の参考書の中では最も難易度が高いものの1つだと考え(詳しくは、「TOEICスコアはどんぶり勘定」を参照)、マジック・リスニングの効果を測るために「これ1冊で860点突破」を使用することにしました。
詳しい実験手順をまとめますと、次の通りになります。
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マジック・リスニングでトレーニングを始める前日に、「TOEIC TEST
これ1冊で860点突破」に収録されている100問のリスニング問題を解く。次回受験する際に答えを覚えておくことがないように、自分の解答を書いた用紙は、この段階ではまだ答え合わせしない。 ・
マジック・リスニングを使った12日間のトレーニングを始める。 (この12日間の間には「これ1冊で860点突破」のCDを聞いたり、トランスクリプトを読んだり、自分の解答や模範解答を見たりすることは一切しない) ・マジック・リスニングによる12日間のトレーニングが終わったら、「TOEIC
TEST
これ1冊で860点突破」に収録されている100問のリスニング問題を再度解く。この時初めて模範解答に目を通し、マジック・リスニング使用前と後に受けた際の解答を採点する。
マジック・リスニング使用直前・使用直後の点数は、以下の通りです。
|
マジック・リスニング 使用前 |
マジック・リスニング 使用後 |
1、写真描写問題 |
16 |
15 (-6.3%) |
2、応答問題 |
26 |
25 (-3.8%) |
3、会話問題 |
16 |
25 (+56.3%) |
4、説明文問題 |
16 |
20 (+25.0%) |
合計 |
74 |
85 (+14.9%) |
と、マジック・リスニング使用前と後の正解率を見てみると、Part1と2では得点が微減したものの、全体的には正解率が74%から85%にまでアップ、誤答はなんと42%も減ったのでした。すごい!、マジック・リスニングってこんなに効果があるんですね!、といいたいところですが、そうは問屋が卸しません!
上の数字を手放しに喜べない理由はというと……
その理由は、皆さんもお判りいただけると思いますが、「記憶」という問題です。次回受験する際に答えを覚えておくことがないように、答え合わせはマジック・リスニング使用後に解くまでしませんでした。とはいえ、同じ問題を12日間の間隔のみを空けて解いたのですから、模範解答は判らないものの会話の内容がある程度頭に残っており、2回目受験する際に有利に働いたことは否めないと思います。
せっかくマジック・リスニングの効果を確かめる為に用意した実験ですが、どうやら得点のアップが「記憶」によるものなのか、マジック・リスニングの効果によるものなのか、はっきりと特定することができません……。
と少し落ち込んでいたところ、先程の得点アップが本当にマジック・リスニングの効果によるものなのか否かを確かめる為に、もう1つ別の実験を行うことを考えつきました。
それは、私と同じ位の英語力を持ち、マジック・リスニングを使ったことがない人に、12日間の間隔を置いて「これ1冊で860点突破」を解いてもらう、ということです。
実験の詳細は、以下の通りです。
・ 「TOEIC・英語検定」ガイド中田と同じ位の英語力を持ち、マジック・リスニングを使ったことがない人に、「TOEIC
TEST
これ1冊で860点突破」に収録されている100問のリスニング問題を解いてもらう。次回受験する際に答えを覚えておくことがないように、自分の解答を書いた用紙は、この段階ではまだ答え合わせしない。
・
12日間普通に過ごしてもらう(この12日間の間には、「これ1冊で860点突破」のCDを聞いたり、トランスクリプトを読んだり、自分の解答や模範解答を見たりすることは一切しない。また、マジック・リスニングによるトレーニングも一切しない)
・
12日後に、再度同じ問題を受験してもらう。この時初めて模範解答に目を通し、12日前に受けた際の解答と今回の解答を採点してもらう。
というものです。
この実験には、私の大学時代の友人のYT氏に協力してもらいました。YT氏の英語学習歴は、私のそれと以下の点でかなり酷似しているからです。
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「TOEIC・英語検定」 ガイド中田 |
YT氏 |
年齢 |
22歳 |
22歳 |
最高TOEICスコア |
990 |
950 |
長期留学歴 |
アメリカのワシントン・アンド・リー大学に約10ヶ月間交換留学(2000年8月〜2001年6月) |
アメリカのウエスタン・ミシガン大学に約9ヶ月間交換留学(2000年8月〜2001年5月) |
マジック・リスニングを使用した私と、使用していないYT氏の点数を比較すれば、点数の伸びがマジック・リスニングによるものなのか、それとも単なる記憶によるものなのかが判ることでしょう。
私の点数とYT氏の点数の推移をまとめると、以下のようになります。
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初日 |
12日後 |
中田 |
YT氏 |
中田 |
YT氏 |
1、写真描写問題 |
16 |
14 |
15 (-6.3%) |
15(+7.1%) |
2、応答問題 |
26 |
20 |
25 (-3.8%) |
19(-5.0%) |
3、会話問題 |
16 |
18 |
25 (+56.3%) |
19(+5.6%) |
4、説明文問題 |
16 |
13 |
20 (+25.0%) |
15(+15.4%) |
合計 |
74 |
65 |
85 (+14.9%) |
68(+4.6%) |
というように、YT氏の得点増加率4.6%に加え、私のそれは14.9%と大きいことが判りました。私とTY氏の英語力がほぼ同じだと考えると、二人の条件で唯一違うのは、マジック・リスニングを使ったか/使わなかったか、ということだけですから、10.3%の差はマジック・リスニングによるものである、と言えるかもしれません。
ここに挙げた2つの実験だけではもちろん結論を下すには不十分ですが、マジック・リスニングの公式サイトには、私が行ったそれより規模の大きい実験データも載っていますので、興味のある方はこちらもご覧下さい。
次のページでは、未だ書ききれないマジック・リスニングのあんなことやこんなことについて触れたり、発売元のアリスコーポレーションに私の疑問をぶつけたりすることで、この製品が本当に「買い」なのか、総括いたします!
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