英語を学ぶすべての人へ > 分詞(現在分詞と過去分詞)の用法
文法を学ぶのをめんどくさいと思っている人は案外多いと思います。でも、文法とはそれさえ知っていれば英語という暗号が解読できる便利なツールだと僕は思っています。たとえば、
"I sat around in the boat playing the violin, and saw the fish, which I seemed to have charmed, gathering around me"という入り組んだ文の意味がわかりますか?。現在分詞が目的格補語になる、という分詞のルールさえ知っていればこの「暗号」を解読することが出来るのです
現在分詞とは動詞のing形、過去分詞とはedをつけたもの(不規則変化をするものもあり)で、それぞれ、
という原則があります。これは分詞の使い方を覚える上でキーとなるものなので、まず頭に入れて置いて下さい。分詞は動詞と形容詞の性質をあわせ持つもので、大きく分けて以下の5つの用法があります。
ここでは、それぞれの用法について例文を挙げながらくわしく見てゆきましょう。
進行形、受動態、完了形の文はそれぞれ、
という公式に乗っ取れば作ることができます。たとえば、
i) He is reading the book now.
→be動詞+現在分詞→(進行形)ii) The prize was awarded to the best performer.
→be動詞+過去分詞→(受動態)iii) I have visited Kyoto twice.
→have +過去分詞→(完了形)などのようになります。
be動詞と共に用いられた場合、現在分詞なら能動的な進行形、過去分詞なら受動的な受身の文になる、ということから、前に述べた原則が成り立つことが判りますね。ページの先頭に戻る
分詞はいわゆる
attributive use(限定的用法)の形容詞と同じ働きもします。この時も最初に述べた原則が成り立ち、現在分詞……能動的→
〜している<名>過去分詞……受動的→
〜される・された<名>という意味になります。分詞と名詞の間に隠れた主語・述語の関係が成り立ち、
i) He is a walking dictionary.
→He is a dictionary that walks. 現在分詞→(能動的)(訳)彼は歩く辞書(=生き字引)だ。→「辞書」が歩く。
ii) The arrested man died in jail.
→The man who was arrested died… 過去分詞→(受動的)(訳)その逮捕された男は収監中に死んだ。→「その男」は逮捕された。
という意味になります。ただし、
iii) He is a retired official.
のように、自動詞の過去分詞が名詞を修飾する形容詞として用いられる時は例外で、
iii) He is a retired official.
→He is an official who has retired. 過去分詞→(受動的)→完了と、過去分詞でも受動態ではなく完了・状態の意味になるので注意が必要です(しかし、このように使われる動詞は
retired, fallen, returned, decayed, escapedなどのごく限られたもののみです)。また、分詞が単独で名詞を修飾する場合は今までのように名詞の前に来ますが、
vi) This is the book stolen by Tom.
(「トムによって盗まれた」→本)のように分詞とともに前置詞句が名詞を修飾している場合は、それでひとまとまりの形容詞として名詞の後ろに置かれます。
Note;
・ 現在分詞と動名詞は形の上で間違いやすいのですが、動名詞も名詞を修飾することがあるので注意が必要です。文字としてみただけではどちらか判断できない場合が多いので、文脈や強勢のある位置で判断します。たとえば、
i) That smoking man is my father.
ii) This is a smoking-room.
では、上の文では
"That man is smoking."という主語―述語の関係が成り立つのでsmokingは動名詞ですが、下の文では"This is s room to smoke in."であり、主語―述語の関係は成り立ちません。すなわち、smokingはroomを修飾する動名詞である、ということになるのです。この場合文脈やハイフンがあることなどから見分けるのは簡単ですが、iii) That racing car is expensive.
という場合、「走っているあの車
="That car which is racing"」であるのか、「あの競争車」という意味であるのかはっきりしません。しかし、複合語の強勢は最初の語に来る、という規則があるため、racingに強勢があったらracing は動名詞、carに強勢があるのであればracingは現在分詞、ということになります。ページの先頭に戻る
(2)はいわば形容詞の限定的用法ですが、分詞は叙述的な(
predicative)形容詞としても用いることができ、という構文中のC(補語)の部分に現在分詞、過去分詞が来ることがあります。この時、
という原則と、現在分詞が能動的、過去分詞が受動的な意味を持つ、という原則は変わらないので、
第二文型
<S> <V> <C> <S> <C>
i) He lay sleeping.
→Cが現在分詞→(能動的)→SがCする →He was sleeping(訳)彼は眠りながら横になっていた。→「彼」が眠っていた。
ii) They grew excited.
→Cが過去分詞→(受動的)→SがCされる→They were excited(訳)彼らは興奮させられてきた(=興奮してきた)。→「彼ら」は興奮させられた。
第五文型
<S><V> <O> <C> <O> <C>
iii) He kept me waiting.
→Cが現在分詞→(能動的)→OがCする→ I was waiting(訳)彼は私のことを待たせた。→「私」が待っていた。
iv) He kicked the door shut.
→Cが過去分詞→(受動的)→OがCされる→The door was shut(訳)彼はドアを蹴って閉めた。→「そのドア」は閉められた。
という風にそれぞれ解釈できます。以上の4つの構文で用いられる動詞としては、
などが代表的なものです。
また、第五文型では特に、知覚動詞や使役動詞を用いるものが重要です。例えば、
v) I saw him crossing the road.
→現在分詞→(能動的)→He was crossing the road.(訳)私は彼がその通りを横切るのを見た(知覚動詞)。→「彼」が横切る。
vi) I had my car repaired.
→過去分詞→(受動的)→My car was repaired.(訳
)私は私の車を修理してもらった(使役動詞)。→「私の車」は修理された。のようなものです。これもO=Cという主語―述語の関係と、現在分詞なら能動的、過去分詞なら受動的な意味を持つ、という原則さえ覚えていれば理解できます。
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@分詞構文の基本
分詞構文とは普通なら接続詞と新たな主語・述語を使って表すような内容を、それらを用いず分詞を用いて表す構文のことです。すなわち、
というのが公式です(受動態の時の
Beingは省略して良い)。たとえば、i) While I was walking in the park, I run into Hank.
→
Walking in the park, I run into Hank.(訳)私が公園を散歩していると、私はハンクに出会った(
Walkingにはwhileの意味が含まれる)。ii) Since it is written in plain English, this book is easy to read.
→
(Being) written in plain English, the book is easy to read.(訳)簡単な英語で書かれているので、その本は読みやすい(
writtenにはSinceの意味が含まれる)。という風に分詞構文は用いることができます。(ここでもまた、「現在分詞は能動的、過去分詞は受動的な意味を表す」という原則が成り立っている、ということが判るでしょう)。
また、分詞構文で省略され得る接続詞は、
@時、A理由・原因、B条件・仮定、C譲歩、D付帯状況、E結果という6つのうちのどれかを表わしています。逆にいえば、分詞構文とはこれらの接続詞をわざと用いないで意味をぼかして書く文体なのです。ゆえに、文脈がないとこのうちのどれなのかはっきり限定することはできません。特に時・理由・条件などの意味をはっきりさせたい場合には、i') While I was walking in the park, I run into Hank.
→While walking in the park, I run into Hank.のように分詞構文でも接続詞を用いることがあります(ふつう
while, if, thoughなどの接続詞に限られる)。また、否定の意味を表したい時には分詞の前に
notをつけ、iii)
Not being used to traveling, she felt uneasy.(訳)旅をすることに慣れていなかったので、彼女は落ち着かなかった。
とし、主節の動詞よりも以前のこと(現在形なら過去or現在完了、過去形なら過去完了のこと)を分詞構文中で表すには、文頭に
Havingがきて、iv)
Having read the book once, it was easy to understand.(訳)以前にもうその本は一度読んでいたので、簡単に理解できた。
のようになります。先ほど過去分詞の前の
Beingは省略できましたが、同じように"Having been written"も"Having been"を省略して"Written〜"として始めることができます。
Note; 分詞構文は非常に堅苦しく、口語ではめったに使われないので用いる時には注意が必要です。
A独立分詞構文
今までの例文中の分詞構文では主節と分詞構文中の主語が同一だったので、主語を省略することができました。しかし、主節の主語と分詞構文中の主語が異なる場合は省略することはできず、分詞の前に置くことになります。すなわち、
というのが公式です。例えば、
i) As the weather
(S1) got worse, the picnic (S2) was cancelled.→
The weather (S1) getting worse, the picnic (S2) was cancelled.というようになるのです。例外的に、意味の上で誤解がないのであれば、
ii) When I
(S1) lay in my bed, everything (S2) seemed so different.→
Lying in my bed, everything (S2) seemed so different.というように主節と分詞構文中で主語が違うのに明示しない文もあることはあります。これらは「懸垂分詞」などといわれますが、もちろん私たちは作らないにこしたことはなく、こういう文に出会ったときに意識すれば良いでしょう(上の例文で
Iを省略しても良いのは、in my bedの"my"から主語がIであることが判る為だと考えられています)。また、慣用的に主語が省略されるものがあり、それらには、
judging from, strictly speaking, talking of, speaking of, supposing, granting that, taking ~ into account, considering, generally speaking, roughly speaking, provided that, seeing that.
などがあります。これらは真に慣用的に用いられるもので、例えば、
iii) Strictly speaking, his answer is not correct.
(訳)厳密に言うと、彼の答えは正しくない。
のように用い、主節の主語に関係なく主語は必要ありません。
Note; 先ほど分詞構文は文語的である、と書きましたが、独立文詞構文は更に文語的で、過去分詞を使った独立分詞構文になると更にまれになります。
B前置詞withと共に用いる
また、付帯状況を表すものとして、
という句も分詞構文の一部である、と考えられます。この時にも、現在分詞なら直前の名詞との間に能動的、過去分詞であれば直前の名詞との間に受動的な意味が成立します。たとえば、
i) She came in, with her eyes shining.
→現在分詞→Her eyes were shining.→(能動的)(訳)彼女は目をきらきら輝かせて、入ってきた。→「目」が輝いていた。
ii) She sat in the chair, with her legs crossed.
→過去分詞→Her legs were crossed.→(受動的)(訳)彼女は足を組んでその椅子に座っていた。→「彼女の足」は組まれていた。
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最後に、現在分詞はまれに副詞として用いられることがあります。
i) It was an amazing large tree.
(訳)それは非常に大きい木だった
(amazing = wonderfully)。ページの先頭に戻る
飯塚茂監修、「プライム総合英語」、文英堂、1994年
江川秦一郎、「英文法解説」、金子書房、1953年
中部日本教育文化会、「Brush up Your English―基礎英語の完成―」、中部日本教育文化会
山口 俊治、「全解英語構文」、語学春秋社、1986年
Christophersen, P. Sandved, A.O, An Advanced English Grammar
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