皆さん、こんにちは。「言語習得論演習」担当の中田です。新型コロナウイルスの影響で授業がオンラインに移行し、就職活動にも影響が出るなど、色々と不安の中で過ごされていると思います。
また、4年生にとっては、今年は大学生最後の年となります。文学部では卒業論文が必修となっているため、卒論の作成についても不安を感じているかもしれません。
そのため、今回の初回授業では、卒論についていくつか説明をします。
なお、この授業は少なくとも当面の間は「資料配信型」(教材等をオンラインで配信し、理解確認や質疑応答・意見交換などを行う授業)となる予定です。実際の授業の開講時間に関わらず、好きな時間に教材・課題に取り組むことができます。
卒論のタイプ
このゼミのテーマは第二言語習得および英語教育です。第二言語習得および英語教育で卒論を書く場合、以下のような4つのタイプが考えられます。
- 実験
- 文献研究
- ソフトウェアレビュー
- 教材・学習活動の分析
以下に、上の1〜4について説明します。
1. 実験
第二言語習得および英語教育に関するデータを収集し、それを分析するものです。具体例としては、2019年度の秋学期に取り上げた以下のような研究が挙げられます。
Karpicke & Roediger 2008 The critical importance of retrieval for learning
ただし、新型コロナウイルスの影響を考えると、対面でデータを収集するような実験はあまり現実的ではないでしょう。
一方で、Google Form等を使用してオンラインのテストを実施し、データをとるといったことは可能でしょう。
2. 文献研究
第二言語習得および英語教育に関するトピックを選び、それに関して今までにどのような研究が行われているかをまとめ、考察するものです。具体例としては、2019年度の秋学期に取り上げた以下のような研究が挙げられます。
中田 – 2018 – 復習間隔を少しずつ広げていくことは長期的な記憶保持を促進するか? 先行研究の批判的検証
3. ソフトウェアレビュー
近年では、DuolingoやMikanなど、英語を学習するための様々なアプリやソフトウェアがあります。それらを第二言語習得および英語教育に関する理論的な枠組みで分析するのがソフトウェアレビューです。
具体例としては、以下をご覧ください。
ソフトウェアレビューで重要なのは、ソフトウェアを使用した主観的な感想や意見を書くのではなく、あくまでも先行研究に基づいた理論的な枠組みを用いて客観的に分析することです。
分析に使用できる枠組みとしては、例えば語彙習得であれば”technique feature analysis”や”involvement load hypothesis”などが挙げられます。これらについては、2019年度の秋学期に取り上げた以下の論文を参考にしてください。
4. 教材・学習活動の分析
「3. ソフトウェアレビュー」とも似ていますが、英語学習教材(単語帳、単語カードなど)や学習活動(クロスワード、穴埋め問題など)を第二言語習得および英語教育に関する理論的な枠組みで分析することも可能です。
具体例としては、以下をご覧ください。
ソフトウェアレビューと同じく、主観的な感想や意見を書くのではなく、理論的な枠組みを用いて客観的に分析することが必要です。
次回までの宿題
卒論について具体的なイメージは湧きましたか? 次回までの宿題として、以下の課題に答えてください。
締め切り:2020年5月17日(日)23時59分59秒
また、シラバスに記載の通り、『はじめての英語教育研究:押さえておきたいコツとポイント』(浦野研ほか、大修館書店)を教科書として使用します。受講を予定している学生は、あらかじめ購入しておいてください(卒論執筆にも大いに役立つ書籍です)。
次回授業の内容は、5月18日(月)までに学習支援システムの「お知らせ」欄でご連絡します。5月18日以降に学習支援システムの「お知らせ」を確認してください。