『最新の第二言語習得研究に基づく 究極の英語学習法』(KADOKAWA) という本を書きました

この度、『最新の第二言語習得研究に基づく 究極の英語学習法』という書籍を出版しました。

詳細は以下の通りです。


書名:最新の第二言語習得研究に基づく 究極の英語学習法

著者:中田達也

定価:1,650円(本体1,500円+税)

出版社:KADOKAWA

ページ数:320ページ

発売:2023年9月15日


書籍では以下の内容を取り上げています。

はじめに

英語の「学び方を学ぶ」ことの重要性
研究が明らかにする効果的な英語学習法
オンラインツールやAIを活用する

第1章 英語学習の原則

(1) 大人になってからではもう手遅れ?
(2) 「ネイティヴ英語」を目標にするべきではない
・英語を学ぶ「目的」が目標や学習法を決める
(3) 「コミュニケーション」=「英会話」ではない
(4) 「英語はネイティヴに習った方が良い」とは限らない
(5) 「日本人は世界に名だたる英語下手」ではない
(6) 明確な目標がない方にお薦めの学習法
(7) 「文法よりコミュニケーションが重要」というウソ
(8) 理解できない英文は「聞き流し」ても身につかない
(9) 英語でのコミュニケーション能力を身につけるカギは「流暢性」
・スキルリンク活動、単語カード、数字の流暢性トレーニング
(10) 英語学習に効果的な復習スケジュール
・どのくらいの間隔を空ければ良いのか?
・最適なセッション間の間隔は?
・「復習間隔を徐々に広げること」は効果的か?
・「セグメントに分けて繰り返す」ことの効果

第2章 単語

(1) 語彙は英語学習の基本、しかし大変
(2) 「和訳を知っているだけ」では不十分?
・一語一訳でも覚えるが勝ち
・和訳を避けても誤解は避けられない
・和訳の効果を高めるための2つの工夫
(3) 覚えるべき英単語の見分け方
1. 高頻度語
2. 低頻度語
3. アカデミック語彙
4. 専門語彙
(4) 英単語学習法の最適解
1. 単語集
2. 単語カード
3. 単語学習アプリ
4. 語呂合わせ
5. 語源学習法
6. カタカナ英語
7. 書き取り練習
8. 英作文
9. 意味重視の学習

第3章 定型表現

(1) なぜ定型表現が重要なのか?
(2) 定型表現の分類と特徴
1. イディオム(idioms)
2. コロケーション(collocations)
3. 二項表現(binomials)
4. 複合語(compounds)
5. 句動詞(phrasal verbs)
6. 慣習表現(institutionalized expressions)
7. 構文(constructions)
8. その他
・コアイディオム(core idioms)
・文法的コロケーション(grammatical collocations)
・名詞 of 名詞
・群前置詞
・直喩表現
(3) 定型表現の学習法

第4章 文法

(1) 「宣言的知識」と「手続き的知識」を身につける
・文法ドリルの効果を高める工夫1:ブロック練習だけでなく、ミックス練習も行う
・文法ドリルの効果を高める工夫2:筆記練習だけでなく、口頭練習も行う
(2) 文法ルールをはじめに学習することは不可欠なのか?
(3) ドリルだけではなく、コミュニカティブな練習も必要
(4) 文法学習に役立つ教材・アプリ

第5章 発音

(1) 「わかりやすい」発音とは? 日本語訛りは矯正すべき?
(2) 英語の音素を身につける効果的な方法
・音素に関する宣言的知識を身につける
・音素に関する手続き的知識を身につける
・意味重視学習で音素に関する知識を定着させる
(3) プロソディーとは?
・余計な母音を入れない
・1つの単語内で強弱をつける
・1つの文中でも強弱をつける
・イントネーション
・音声変化に慣れる
(4) 発音学習に役立つ教材・アプリ
・発音を調べるのに役立つ教材・アプリ
・発音を練習するのに役立つ教材・アプリ

第6章 リーディング

(1) リーディングの正確性を高めるための学習法
(2) リーディングの流暢性を高めるための学習法
・単語と定型表現の知識をつける
・「シャトルラン」のように再読してスピードを上げる
・速読訓練で読解速度を上げる
・多読で読解速度を上げる
(3) リーディング学習に役立つ教材・アプリ
・精読・多読・速読の全てに役立つExtensive Reading Central
・Extensive Reading Centralを使った速読訓練
・AIに英文をやさしく書き換えてもらう

第7章 リスニング

(1) なぜ英語の聞き取りは難しいのか?
・単語や文法に関する知識が不十分である
・発音に関する知識が不十分である
・音声変化に関する知識が不十分である
・リスニングの流暢性が不足している
(2) リスニングの正確性を高めるための学習法
(3) リスニングの流暢性を高めるための学習法
・単語と定型表現の流暢性を高める
・リスニングの流暢性を高めるためのトレーニング
・多聴でリスニングの流暢性を高める
(4) リスニング学習に役立つ教材・アプリ

第8章 ライティング

(1) ライティングの正確性を高めるための学習法
1. コピペ(英借文)で英文を書く
2. オンラインツールで正確性を高める
・適切な表現の検索
・ワイルドカード検索
・言い換え表現の検索
・ジャンルの検索
(2) ライティングの流暢性を高めるための学習法
(3) AIに英文を添削してもらう
(4) ライティング学習に役立つ教材・アプリ
・AIと対話して、意味重視のライティング活動を行う
・Character.AIで有名人や様々なキャラクターと対話する

第9章 スピーキング

(1) スピーキングの正確性を高めるための学習法
(2) スピーキングの流暢性を高めるための学習法
(3) 無料で(あるいは安価に)英会話の練習をする方法


書籍では、英語学習に役立つ多くのwebサイトやAIツールなどもご紹介しています。

「定型表現」に関する章では、Don’t judge a book by its cover(本を表紙で判断するな→外見で中身を判断してはいけない)などの有用な定型表現も複数紹介しています。

SNS上での反響

X (旧Twitter)で本書籍について検索した結果を以下に示します。

全国の書店やアマゾンをはじめとするオンライン書店で、発売中です。

最新の第二言語習得研究に基づく 究極の英語学習法

どうぞよろしくお願いいたします!

『英語は決まり文句が8割 今日から役立つ「定型表現」学習法』(講談社現代新書)という本を書きました

この度、『英語は決まり文句が8割 今日から役立つ「定型表現」学習法』という書籍を出版することになりました。


英語は決まり文句が8割 今日から役立つ「定型表現」学習法
(講談社現代新書)

著者:中田達也

定価:990円(本体900円+税)
* Kindle版は825円(税込)です。

出版社:講談社

ページ数:240ページ

発売:2022818


英語を学習する上で、イディオム・コロケーション・複合語・句動詞などの定型表現が重要な役割を果たすことが近年の研究により示されています。

この書籍では、主に以下の3点について論じています。

(1)
定型表現が英語学習において果たす役割
(2) 定型表現の分類と特徴
(3) 定型表現の効果的な学習法

書籍は3章から構成されます。以下に、書籍の内容を一部ご紹介いたします。

はじめに

・「定型表現」とは何か 文法と単語のはざま

・見過ごされてきた定型表現

・ほとんど研究されてこなかった

・母語話者の言葉の多くが実は定型表現

・定型表現がいよいよ「主役」へ

・本書を執筆した背景

・本書の構成

1 定型表現が重要な理由

・定型表現を学ぶ「8つの利点」

(1) 
言語使用の正確性が上がる

(2) 
言語使用の流暢性(=スピード)が上がる

(3) 
言語を使って様々な機能を遂行できるようになる

(4) 
状況にあった適切な言語を使用できるようになる

(5) 
すでに知っている単語への知識が深まる

(6) 
未知の単語を覚えるきっかけとなる

(7) 
文法知識の習得が促進される

(8) 
ある共同体(コミュニティ)への帰属を示す

・『実況パワフルプロ野球』が示す定型表現の重要性

・「ネット弁慶」を英語で言えますか?

・母語話者だけでなく、学習者も定型表現を使うべき?

・定型表現を知ることのデメリット

・定型表現への執着が強すぎて2回離婚するはめになったある言語学者の話

2 奥深き定型表現の世界―その分類と特徴

・8種類の定型表現:イディオム、コロケーション、二項表現、複合語、句動詞、慣習表現、構文、固定フレーズ

「イディオム」と「コロケーション」の違いを説明できますか?

・kick the bucketは「首つり自殺をしようとする人がバケツの上に乗り、それを足で蹴ることで死んだため、 『死ぬ』という意味になった」と一般的に考えられているが、この説に信憑性はなさそう

なぜ母語話者はdecidelieの代わりにわざわざmake a decisionやtell a lieと言うのか

英語学習者にとって句動詞が難しい3つの理由

・ladies and gentlemenとは言うが、gentlemen and ladiesとは言わない理由

・a green housea greenhouseの違い

定型表現の厄介な4つの特徴

・「M & M’s」と「ロックンロール」の意外な関係

・take a day offの反対はtake a day on

3 4技能を伸ばす定型表現の学習法

・多読・多聴の効果を高めるための工夫

・『アグレッシブ烈子』で学ぶ英語定型表現

・Webサイトの活用

・熟語集の活用

・和訳の活用

・カタカナ英語の活用

・英語母語話者は「ペアルック」や「ペーパードライバー」などの和製英語を理解できるのか?

・スピーキング・ライティングによる定型表現の学習

・まとめ─最重要課題はすでにクリアしている

おわりに

・2002年から2022年までの筆者の半生(ニュージーランドでの5年間や大阪での4年間)を勝手に振り返る

・謝辞

書籍で紹介しているwebサイト

本書籍では、定型表現学習に役立つwebサイトを多数ご紹介しています。以下はその一部です。

IDIOM Search
English-Corpora.org
Sketch Engine
Language Reactor
AWSuM
ColloCaid
Google Ngram Viewer
Youglish
Netspeak
Just the Word
英辞郎


全国の書店、およびアマゾンなどのオンライン書店で発売中です。

英語は決まり文句が8割 今日から役立つ「定型表現」学習法

アマゾンではKindle版も発売中です。Kindle版(825円)の方が書籍(990円)よりもお買い得です。

どうぞよろしくお願いいたします!


PS 書籍の帯には「最小の努力でネイティブに近づく英語学習の新定番」という宣伝文句が書かれていますが、母語話者を理想とすることが望ましいかについては様々な意見があります。

また、以下の論文で論じられているように、「母語話者」(native speakers)や「非母語話者」(non-native speakers)という用語自体が不適切であるという指摘もあります。

Dewaele, J.-M. (2018). Why the dichotomy ‘L1 versus LX user’ is better than ‘native versus non-native speaker.’ Applied Linguistics, 39, 236–240.

詳しくは、書籍の第1章をご参照ください。

書籍『英語学習の科学』が研究社から発売されました

編著者をつとめた書籍、『英語学習の科学』が研究社から発売されました。

タイトル:『英語学習の科学
編著:中田達也・鈴木祐一
定価:2,200円(本体2,000円+税)
発売:2022年4月25日

Amazonの紹介ページはこちらです。

帯に「第二言語習得研究の専門家11人に英語学習について聞いてみました」とある通り、第二言語習得研究(SLA)の立場から効果的な英語学習法等について論じる内容となっています。

「効果的な英語学習法を知りたい」という一般の学習者はもちろん、SLAについて本格的に学びたい学部生・大学院生にも役に立つ内容を目指しました。

書籍の詳細な目次は、出版社のwebサイトをご参照ください。

本書の最大の特徴は、豪華な執筆陣です。本書籍の執筆者はいずれもSLA研究の最前線で活躍しており、国内のみならず国際的にもそれぞれの分野で専門家として認知されています。

以下に本書籍の執筆者をご紹介します(敬称略)。

第1章 SLA 研究から考える英語学習の大原則 中田達也・鈴木祐一
第2章 単語の学習 中田達也
第3章 文法の学習 鈴木祐一
第4章 発音の学習 濱田陽
第5章 リスニングの学習 門田修平
第6章 リーディングの学習 濱田彰
第7章 スピーキングの学習 神谷信廣
第8章 ライティングの学習 新谷奈津子
第9章 英語学習と個人差 新多了
第10章 動機づけ・学習スタイル・学習ストラテジー 廣森友人
第11章 子どもの英語学習 鈴木渉
第12章 留学による英語学習 佐々木みゆき
終わりに―SLA研究の活用法と注意点 中田達也・鈴木祐一

詳細なプロフィールは以下のとおりです(「好きな英語学習法」 or 「役立った英語学習法」についてもコメントして頂きました)。

濱田陽(はまだ・よう)[第4章] 秋田大学高等教育グローバルセンター准教授。博士(教育学)。専門分野は発音・リスニング。著書に、『Teaching EFL Learners Shadowing for Listening』(Routledge)がある。好きな英語学習法はカラオケシャドーイング。

門田修平(かどた・しゅうへい)[第5章] 関西学院大学・大学院教授。Tryon社フェロー(顧問)。博士(応用言語学)。専⾨は第二言語習得。著書に『Shadowing as a Practice in Second Language Acquisition』(Routledge)などがある。役立つ学習法はシャドーイング・音読。

濱田彰(はまだ・あきら)[第6章] 神戸市外国語大学外国語学部准教授。博士(言語学)。専門分野は第二言語習得(特に読解・語彙の学習)。共著に『Rによる教育データ分析入門』(オーム社)がある。役に立った英語学習法はストラテジーを学ぶこと。

神谷信廣(かみや・のぶひろ)[第7章] 群馬県立女子大学教授。博士 (第二言語学)。専門分野は教授第二言語習得。近著に「What characteristics of recasts facilitate accurate perception when overheard by true beginners?」(Language Teaching Research)がある。好きな英語学習法は洋画鑑賞。

新谷奈津子(しんたに・なつこ)[第8章] 関西大学教授。博士(言語教育)。専門分野は第二言語習得。著書に『The Role of Input-Based Tasks in Foreign Language Instruction for Young Learners』がある。オススメの学習法は海外の有名人ツイートを読むこと。

新多了(にった・りょう)[第9章] 立教大学外国語教育研究センター教授。博士(応用言語学)。専門分野は第二言語習得(特に個人差要因)。著書に『「英語の学び方」入門』(研究社)などがある。好きな英語学習法は10分間のフリーライティング。

廣森友人(ひろもり・ともひと)[第10章] 明治大学国際日本学部教授。博士(国際広報メディア)。専門分野は英語教育・第二言語習得(特に学習者要因)。著書に『英語学習のメカニズム』(大修館書店)がある。役立ったと思う英語学習法は多読・多聴。

鈴木渉(すずき・わたる)[第11章] 宮城教育大学教授。博士(教育学)。専門分野は第二言語習得。編著書に『外国語学習での暗示的・明示的知識』『実践例で学ぶ第二言語習得研究に基づく英語指導』(大修館書店)がある。好きな英語学習法は多読と多聴。

佐々木みゆき(ささき・みゆき)[第12章] 早稲田大学教育・総合科学学術院教授。博士(応用言語学)。専門分野は第二言語ライティング論。最近の共著に『The Handbook of Second and Foreign Language Writing』(De Gruyter Mouton社)がある。好きな英語学習法は洋書をオーディオブックunabridged版で聴くこと。

【編著者】
中田達也(なかた・たつや)[第1章・第2章・終わりに] 立教大学異文化コミュニケーション学部准教授。博士(応用言語学)。専門分野は第二言語習得(特に語彙の習得)。著書に『英単語学習の科学』(研究社)、分担執筆に『Encyclopedia of Applied Linguistics』(Wiley-Blackwell)、『Routledge Handbook of Vocabulary Studies』(Routledge)などがある。好きな英語学習法は留学。

鈴木祐一(すずき・ゆういち)[第1章・第3章・終わりに] 神奈川大学准教授。博士(第二言語習得)。専門分野は第二言語習得・外国語教育。Studies in Second Language Acquisitionなど国際学術誌の編集委員を務める。共著に『高校英語授業における文法指導を考える』や『高校生は中学英語を使いこなせるか?』(アルク)などがある。好きな英語学習法は、山中湖での英語合宿(ITC)。

従来の「英語学習本」とは一味違う、英語学習に真に役立つ画期的な書籍になったと手応えを感じています。オンライン書店アマゾンや、全国の書店で好評発売中です!

『英語学習の科学』(Amazon)

 

「語彙プロファイラー」で学習すべき英単語を見つける方法:Compleat Lexical Tutorの使い方

「語彙プロファイラー」で学習すべき英単語を見つける方法:Compleat Lexical Tutorの使い方

英単語を学ぶ上では、重要な単語を、様々な活動でバランスよく学習することが欠かせません。それでは、どのようにすれば「重要な単語」を特定できるのでしょうか?

ある単語が重要であるかどうかを判断する際に役立つ基準の1つとして、その単語の出現頻 (frequency) 挙げられます。わかりやすくいえば、会話や書籍で頻繁に使用される単語は、たまにしか出てこないマイナーな単語よりも優先して学ぶに値する、ということです。

単語の出現頻度に関して重要なことは、ごく少数の単語があらゆるテキストの大部分を占め、それ以外の大多数の単語は、ほとんどまれにしか出現しないということです。これは「Zipfの法則」と呼ばれます(Zipfの法則に関しては、こちらのYouTubeビデオの解説がわかりやすく、お勧めです)。

重要な英単語とそうでない英単語

英語では頻度に応じて、単語を以下の3つのグループに分類することが一般的で (Nation, 2013)。

単語グループ 頻度レベル 語数 カバー率
(1)    高頻度語(high-frequency words) 1000語~3000語 3000語 約94~95%
(2)    中頻度語(mid-frequency words) 4000語~9000語 6000語 約3~4%
(3)    低頻度語(low-frequency words) 10000語以上 多数 約2%

上表の「カバー率」とは、ある単語がテキスト全体の何%を占めているか(カバーしているか)を指します。例えば、英語で最も頻繁に使われる単語は定冠詞the ですが、the だけであらゆるテキストの約7%を占めると言われています(つまり、英語で文章を読むと、100語に7回の割合でtheが出てくる、ということです)。この場合、the のカバー率は7%となります。ちなみに、一般的な英語の書籍では、1ページに含まれる単語は約300語程度だと言われています。the のカバー率が7%だと考えると、1ページ中に21回もtheという単語が登場する計算になります。

英単語の3つのグループについて見てみましょう。1つ目のグループである高頻度語は、英語で最も頻度が高い3000語から構成されます。このグループに属する3000語だけで、一般的な英文テキストの約94~95%をカバーします。1語を学ぶごとにカバー率を大きく増やすことができるので、非常にコスト・パフォーマンス(費用対効果)が高い単語と言えます。英語を学習する上では、まずこの高頻度語をどのような手段(単語カードや単語帳など)を使ってでも良いので覚えましょう。

2つ目のグループである中頻度語は6000語から構成され、一般的な英文テキストの約3~4%を占めます。高頻度語と比べると1語あたりのカバー率はだいぶ下がりますが、会話・映画・小説・新聞を理解するには、6000~9000語程度を知っている必要があるという研究があります(Nation, 2006)。英語の上級者になるためには、高頻度語3000に加えて、中頻度語6000もぜひおさえておきたいところです。

3つ目のグループは、低頻度語と呼ばれます。高頻度語・中頻度語以外の単語は、すべて低頻度語に分類されます。低頻度語は数多くありますが、一般的な英文テキストにおけるカバー率はすべて合わせても2%程度にしかなりません。そのため、学習すべき優先順位は低くなります。高頻度語と中頻度語を完全にマスターしたという学習者でない限り、低頻度語をあえて学習する必要はないでしょう。

英単語を学ぶ上で重要なことは、ごく少数の単語(高頻度語)があらゆるテキストの大部分を占め、それ以外の大多数の単語(中頻度語や低頻度語)は、ほとんどまれにしか出現しないということです。例えるなら、英単語はごく少数の働き者と、その他大勢の怠け者から成り立っている、ということです。

注)「最も頻度が高い単語3000語で、あらゆるテキストの約94~95%をカバーする」といった場合の「1語」とは、「ワードファミリー」(word families) 呼ばれるものです。ワードファミリーでは、ある英単語の活用形や派生形も含めて、「1語」と数えます。例えば、includeのワードファミリーには、その活用形であるincludes, included, includingや、派生形であるinclusive, inclusionが含まれます。

語彙プロファイラーで英単語の頻度を調べる

せっかく英単語を学習するのであれば、めったに出会わない怠け者の単語ではなく、頻繁に出会う働き者の単語を学ぶようにしたいものです。働き者の単語と怠け者の単語を見分けるためには、「語彙プロファイラー」というツールが有益です。

語彙プロファイラーには様々なものがありますが、本稿ではVocabProfilerをご紹介します。VocabProfilerはケベック大学モントリオール校のTom Cobb教授が開発したもので、https://www.lextutor.ca/vp/comp/から無料で使用できます。

VocabProfilerの使い方

VocabProfilerで語彙レベルを調べるためには、画面中央のボックスに、分析したい英文テキストを貼り付けます。ここでは、例としてNew York Timesの“Republicans Grind Impeachment Inquiry to Halt as Evidence Mounts Against Trump”という記事 (2019年10月23日) を貼り付けます。

*画面中央のボックス(上の写真で青く囲った部分です)に、分析したい英語の文章を貼り付けます。

テキストを貼り付けた後は、画面右上にある“FRAMEWORKS”というボックスの中から、分析に使用する語彙リストを選択します。通常は一番上にある「BNC-COCA 1-25k」を選択することをお勧めします。

その後、画面右下にある黄色い [SUBMIT_window] ボタンをクリックします。すると、以下のように分析結果が表示されます。

分析結果の上の方にある表をご覧ください。この表の「Tokens (%)」は、それぞれの頻度レベルの単語が文中の何%を占めて(=カバーして)いるかを表します。例えば、「K-1」という行の「Tokens (%)」には「78.7%」とあります。これは、1000語レベルの単語(K-1)がこの文章全体の78.7%を占めているという意味です(1kや2kの“k”とはkilo、すなわち1000という意味です)。つまり、この英文記事中で用いられている単語の約8割は、英語で最も頻度が高い1000語が占めている、ということです。

次に、「K-2」という行の「Tokens (%)」には「7.0」とあります。これは、2000語レベルの単語(K-2)がこの文章全体の7.0%を占めているという意味です。

次に、同じ表の一番右にある「Cumul. token(%)」の行をご覧ください。この列は、「累積カバー率」(cumulative coverage) 表します。例えば、「K-1」という行の「Cumul. token (%)」には「78.7%」とあります。これは、1000語レベルまでの単語(K-1)がこの文章全体の78.7%を占めているという意味です。

その下の「K-2」という行の「Cumul. token (%)」には「85.7%」とあります。これは、2000 (k-2) ベルまでの全ての単語、すなわち、1000語レベルと2000レベルの単語を合計すると、英文中の85.7% (= 78.7% + 7.0%) 単語をカバーできる、という意味です。つまり、この英文記事で用いられている単語の85.7%は、英語で最も頻度が高い2000語から構成されている、ということです。

この表はさらに、「Coverage 95」と「Coverage 98」という2つの線で区切られています。

「Coverage 95」とは、「英文中で用いられている95%の単語をカバーするのに必要な語彙レベル」を表します。この表では、5000語レベル(k-5)の下に「Coverage 95」という区切りが入っています。つまり、この英文記事で用いられている単語の95%をカバーする上では、少なくとも5000語を知っている必要がある、ということを意味します。念のため5000語レベル(k-5)の「Cumul. token (%)」を見てみると「95.6%」となっており、英語で最も頻度が高い5000語を知っていれば、この英文記事の95%以上をカバーできる、ということが確認できました。

ちなみに、標準的なテキストであれば、3000語レベルまでの単語(高頻度語)で94〜95%の単語はカバーできることが知られています。5000語を知らないと95%のカバー率に達しないという点で、このNew York Timesの記事は比較的難易度が高いと言えます。

「Coverage 98」とは、「英文中で用いられている98%の単語をカバーするのに必要な語彙レベル」を表します。この表では、8000語レベル(k-8)の下に「Coverage 98」という区切りが入っています。つまり、この英文記事で用いられている98%の単語をカバーする上では、少なくとも8000語を知っている必要がある、ということを意味します。8000語レベル(k-8)の「Cumul. token (%)」を見てみると「98.1%」となっており、英語で最も頻度が高い8000語を知っていれば、この英文記事の98%以上をカバーできる、ということが確認できました。

95%・98%のカバー率がなぜ重要なのか?

ところで、なぜ英文中で用いられている95%(あるいは98%)の単語をカバーするのに必要な語彙レベルを知る必要があるのでしょうか? それは、「学習者が辞書などを使わずに自力で文章を理解するためには、文中の95〜98%以上の単語を知っている必要がある」という研究結果があるからです。すなわち、100語から構成されるテキストを自力で読んで理解するためには、その内の95〜98語以上が既知であることが望ましいということです。

VocabProfilerによる分析結果をふまえると、今回分析したNew York Timesの記事を自力で理解するためには、5000〜8000語レベルの語彙力が必要であると推定されます。

なお、どのくらいの英単語を知っているかを調べる際には、以下のwebサイトに掲載されているVocab Levels Test, Vocab Size Test, Updated Vocab Levels Test等のテストが活用できます。

https://www.lextutor.ca/tests/

難しい単語を特定する

分析結果の画面で一番下までスクロールすると、「Families List」と書かれたセクションがあります。ここでは、英文テキストに登場した単語が頻度レベルごとに提示されています。例えば、このセクションで1kに分類されている単語は、「最も頻度が高い単語1000」を示します。下の画面では、青字で表示されている単語がこれに該当します (a, about, across, Adam, afterなど)。

次に、2kに分類されている単語は、2000語レベルの単語を示します。上の画面では、緑色で表示されている単語がこれに該当します (accuse, aid, assist, damage, denyなど)。

各単語の後の[ ]は、その単語がテキスト中に登場した回数を指します。例えば、a_[16]は、“a”という単語が全部で16回登場したことを表します。

ここで、冒頭に示した英単語の分類に戻りましょう。英語では頻度に応じて、単語を「高頻度語」(1000語〜3000語レベル)、「中頻度語」(4000語〜9000語レベル)、「低頻度語」(10000語レベル)という3つのグループに分類することが一般的でした。

今回分析で用いたNew York Timesの記事では、中頻度語(4000語~9000語レベル)に該当するのは以下の単語です。

語彙レベル 英単語
4000語レベル chaos, ms, obstacle, senator, sergeant, suite, testimony
5000語レベル chant, enlist, smear, sow, withhold
6000語レベル deflect, deposition, hush, impeach, juror, notwithstanding
7000語レベル defiance, transparency
8000語レベル onslaught, quid, unearth
9000語レベル incriminate, subpoena

また、低頻度語(10000語レベル以上)に該当するのは以下の単語です。

語彙レベル 英単語
10000語レベル 該当なし
11000語レベル quo
12000語レベル standoff
13000〜17000語レベル 該当なし
18000語レベル ultraconservative

VocabProfiler以外の語彙プロファイラーも使ってみよう

今回ご紹介したVocabProfiler以外にも、語彙プロファイラーは多くあります。例えば、関西大学の水本篤教授が開発したNew Word Level Checker (https://nwlc.pythonanywhere.com) は、(1) New JACET 8000、(2) SVL 12000、(3) The New General Service List (NGSL)、(4) CEFR-J Wordlistという4つの語彙リストに基づいて、英単語の語彙レベルを調べることが出来ます。

New JACET 8000では、母語話者の使用頻度だけでなく、日本国内で使用されている英語教科書や入試問題などにおける出現頻度に基づき、語彙レベルを補正しています。そのため、日本における英語学習者にとっての難易度を推定したい際には、母語話者の使用頻度のみを元にした語彙リストよりも、New JACET 8000の方が適している場合もあります。

母語話者の使用頻度を知りたい場合はVocabProfilerでBNC-COCA等のリストを使い、日本における英語学習者にとっての難易度を推定したい際にはNew Word Level CheckerのNew JACET 8000を使うなど、目的に応じて使い分けると良いでしょう。

ある英文テキストの難易度を調べたり、テキスト中の重要な単語を特定する上では、語彙プロファイラーは非常に有益です。本記事の内容を参考に、語彙プロファイラーで様々なテキストを分析されてみてはいかがでしょうか?

ちなみに本記事でご紹介したVocabProfilerは、Compleat Lexical Tutor (https://www.lextutor.ca/) というwebサイトの機能の1つです。Compleat Lexical Tutorは機能が豊富で非常に素晴らしいwebサイトなのですが、多機能であるゆえに使用方法が若干わかりにくく、さらに90年代を彷彿させるデザインであるため(ずっと見ていると目がチカチカします)、とっつきにくい印象があります。本記事をきっかけに、英語学習者や英語教師にとって、Compleat Lexical Tutorがより身近なツールとなることを願っております。

なお、VocabProfilerについては、拙著『英単語学習の科学』(研究社)の2章でもご紹介していますので、そちらも合わせてご覧ください。

文責:
中田達也(立教大学異文化コミュニケーション学部准教授)
江口政貴(オレゴン大学言語学部博士課程在籍)
柳沢明文(ウェスタンオンタリオ大学教育学部博士課程在籍)

参考文献

Nation, I. S. P. (2006). How large a vocabulary is needed for reading and listening? Canadian Modern Language Review, 63, 59–82.

Nation, I. S. P. (2013). Learning vocabulary in another language (2nd ed.). Cambridge, UK: Cambridge University Press.

【研究結果】単語テストを累積的にするだけで英単語学習が3倍以上促進される

私が執筆した以下の論文が、TESOL Quarterly (Wiley-Blackwell)に掲載されました。

Nakata, T., Tada, S., McLean, S., & Kim, Y. A. (2020). Effects of distributed retrieval practice over a semester: Cumulative tests as a way to facilitate second language vocabulary learning. TESOL Quarterly. doi:10.1002/tesq.596

(研究の背景)

中学校や高校の英語授業で、単語に関する小テストは一般的に行われていることと思います。私も中学生や高校生の頃に英語の授業で単語帳が配布され、毎回決められた範囲に関する小テストが行われていたことを覚えています。

「テスト自体に学習効果がある」という研究結果を考慮すると、単語テストの学習効果をいかにして高めることが出来るかは、重要な研究課題であると考えられます。

* なお、テスト自体に学習効果があるというのは「テスト効果」(testing effect)と呼ばれる現象です。テスト効果に関しては、以下の記事をご覧ください。

【研究結果】本当に何かを習得したいなら、学習ではなく〇〇が効果的

先日出版された私たちの研究では、英語語彙学習における非累積テスト(non-cumulative test)と累積テスト(cumulative test)の効果を比較しました。

ここで言う「非累積テスト」とは、それぞれの出題範囲に重なりがないテストを指します。例えば、「中間テスト」では学期の前半で学習した内容が出題され、「期末テスト」では学期の後半で学習した内容が出題される時、中間テストと期末テストの出題範囲には重複がありません。よって、これらのテストは非累積テストです。

一方、「累積テスト」では、その名の通り出題範囲が累積的に増えていきます。例えば、「中間テスト」では学期の前半で学習した内容が出題され、「期末テスト」では学期の後半だけでなく前半でも学習した内容が出題される時、このテストは累積テストと呼ばれます。

数学や心理学の分野においては、累積テストの方が非累積テストよりも学習を促進することが示されています (Beagley & Capaldi, 2016; Khanna, Brack, & Finken, 2013; Lawrence, 2013; Mayfield & Chase, 2002)。しかしながら、外国語学習においても累積テストが記憶保持を促進するかどうかは、これまでの研究では明らかになっていません。

(研究の概要と結果)

上で述べたような背景をふまえ、我々の研究では英語語彙学習における累積テストと非累積テストの効果を比較しました。

参加者は薬学を専攻している日本の大学生72名でした。参加者は非累積グループと累積グループとに割り当てられました。いずれのグループでも、参加者は8週間にわたって80の医学用語を学習しました。授業は1週間に1回行われ、毎週10の英単語が導入されました。翌週の授業では、学習した単語に関する小テストが行われました。

非累積グループでは、前の週で導入された10単語が次週の小テストで出題されました。一方、累積グループでは、前の週で導入された単語だけでなく、それ以前の授業で導入された単語も出題範囲として指定されていました。

以下に非累積グループと累積グループのイメージを示します。

図1. 非累積グループのイメージ。小テスト1では「単語1~10」、小テスト2では「単語11~20」、小テスト3では「単語21~30」が出題範囲。それぞれの出題範囲に重なりがない。
図2. 累積グループのイメージ。小テスト1では「単語1~10」、小テスト2では「単語1~20」、小テスト3では「単語1~30」が出題範囲。回数を重ねるにつれて、出題範囲が累積的に増えていく。

注)累積グループ・非累積グループともに、毎週の小テストでは10問ずつ出題され、問題数に違いはありませんでした。唯一の違いは、出題範囲が異なっていたということでした。

最後の小テストの3週間後に事後テストを行い、学習効果を測定しました。その結果、累積グループの得点が非累積グループの得点を大きく上回っていました。両グループの差は非常に大きく、累積テストは非累積テストよりも3.4倍も効果的でした(日英翻訳テストで学習効果を測定した場合)。この結果は、累積テストは非累積テストと比較して語彙習得を大きく促進する可能性を示唆しています。

本研究で興味深かったのは、毎週の小テストでは非累積グループの方が累積グループよりも高い得点をとっていたにもかかわらず、学期末の事後テストでは結果が逆転し、累積グループの方が高い得点につながった、ということです。

この結果は、「短期的に学習を促進する学習法が、長期的な記憶保持を促進するとは限らない」ということを示唆しています。言い換えれば、「短期的に学習を阻害する(ように見える)学習法が、長期的な記憶保持を促進することもある」と言うことです(これは、“desirable difficulties”と呼ばれる現象です)。


図3. 累積グループと非累積グループの小テストおよび事後テスト得点。小テスト得点に関しては、非累積グループ(赤い線)が累積グループ(黒い線)を常に上回っていた。一方、事後テスト得点(グラフの一番右)に関しては両者が逆転し、累積グループ(黒い線)が非累積グループ(赤い線)よりも3倍以上高い得点に結びついた。

また、本研究の非累積グループでは80単語全てが小テストで1回ずつ出題されましたが、累積グループでは8回の小テストで全く出題されない単語が23個ありました。

しかしながら、累積グループで小テストに出題されなかった単語の事後テスト得点 (40%)は、非累積グループで小テストに出題された単語の得点(25%)を有意に上回っていました。言い換えれば、「小テストに出題されるかもしれない」と学習者に思わせるだけで良く、実際には出題しなくても十分な学習効果が期待できる、ということです。

ただし、それと同時に、累積グループで小テストに出題された単語の事後テスト得点 (56%)は、累積グループで小テストに出題されなかった単語の得点(40%)を有意に上回っていました。この結果は、「小テストに出題されるかもしれない」と学習者に期待させるだけで学習効果があるものの、実際に小テストに出題された単語の方が、そうでない単語よりも記憶保持が促進されるということを示唆しています。

すなわち、「この単語は重要なのでどうしても覚えて欲しい」という単語に関しては、小テストの出題範囲に入れるだけでなく、実際に小テストで出題した方が良い、ということです。


図4. 累積グループで小テストに出題されなかった単語の事後テスト得点 (40%)は、非累積グループで小テストに出題された単語の得点(25%)より高かった。同時に、累積グループで小テストに出題された単語の事後テスト得点 (56%)は、累積グループで小テストに出題されなかった単語の得点(40%)よりも高かった。
注)非累積グループではすべての単語が小テストに出題されたため、「非累積グループで小テストに出題されなかった」という組み合わせは存在しない。

毎週の英単語テストにひと手間加える(出題範囲を累積させる)だけで単語学習が大きく促進されるというのは、非常に有益な研究結果であると考えられます。次回単語テストをする際には、新出語だけでなく、以前のテストでカバーされた単語も出題範囲に入れてみてはいかがでしょうか?

「なぜ累積テストは非累積テストよりも学習を促進するのか?」という理論的な側面に関心がある方は、以下の拙論をご参照ください。

Nakata, T., Tada, S., McLean, S., & Kim, Y. A. (2020). Effects of distributed retrieval practice over a semester: Cumulative tests as a way to facilitate second language vocabulary learning. TESOL Quarterly. doi:10.1002/tesq.596

(参考文献)

Beagley, J. E., & Capaldi, M. (2016). The effect of cumulative tests on the final exam. Problems, Resources & Issues in Mathematics Undergraduate Studies, 26, 878–888. doi:10.1080/10511970.2016.1194343

Khanna, M. M., Brack, A. S. B., & Finken, L. L. (2013). Short- and long-term effects of cumulative finals on student learning. Teaching of Psychology, 40, 175–182. doi:10.1177/0098628313487458

Lawrence, N. K. (2013). Cumulative exams in the introductory psychology course. Teaching of Psychology, 40, 15–19. doi:10.1177/0098628312465858

Mayfield, K. H., & Chase, P. N. (2002). The effects of cumulative practice on mathematics problem solving. Journal of Applied Behavior Analysis, 35, 105–123. doi:10.1901/jaba.2002.35-105

 

講談社「現代ビジネス」のwebサイトで連載を始めました

講談社「現代ビジネス」のwebサイトで英語学習に関する連載を始めました。今のところ、以下の3本の記事を公開しています。

第1回:
【研究結果】本当に何かを習得したいなら、学習ではなく〇〇が効果的

第2回:
「その学習法は正しいか? 『うまくいっている』という幻想に要注意」

第3回:
「【学習法】最も効果的な「復習スケジュール」に関する驚きの研究結果」

どうぞよろしくお願いいたします。

Studies in Second Language Acquisition (Cambridge University Press) に共著論文が掲載されました

査読付き国際誌Studies in Second Language Acquisition(Cambridge University Press)に、鈴木祐一先生(神奈川大学)との共著論文が掲載されました。

Nakata, T., & Suzuki, Y. (2019). Effects of massing and spacing on the learning of semantically related and unrelated wordsStudies in Second Language Acquisition. 41, 287–311. doi:10.1017/S0272263118000219 [PDF]

研究の概要

外国語の単語を学ぶ上で、果物の名前(例. apple, banana, orange)、動物の名前(例. dog, cat, horse)、曜日の名前(例. Sunday, Monday, Tuesday)など、意味的に関連した単語を同時に学習することは一般的に行われていると考えられます。

意味的に関連した単語をまとめて学習することは、“semantic clustering”と呼ばれています。semantic clusteringは、日本に限らず、様々な国で広く行われている学習法であると指摘されています。

しかし、多くの研究者は、semantic clusteringは干渉(interference)を引き起こすため、語彙習得を阻害する有害な学習法であると警鐘を鳴らしています。例えば、right(右)とleft(左)という単語を同時に学習すると、それぞれが競合(干渉)し、どちらが「右」でどちらが「左」を意味するのか、混乱してしまうということです。

「semantic clusteringが学習を阻害する」という主張は、語彙習得に関する多くの専門書籍や学術論文において見られます。しかし、その主張の根拠として挙げられている研究を仔細に検討すると、「semantic clusteringが学習を阻害する」という主張は必ずしも妥当ではないように考えられます。

そこで、我々の研究では、semantic clusteringに関する今までの研究の限界をふまえた上で、semantic clusteringの効果を改めて調査しました。

また、「意味的に類似した単語を学習する上では、特に分散学習が効果的である」という主張を検証するため、集中学習(massed learning)と分散学習(spaced learning)が意味的に類似した単語の学習に与える効果も検証しました。

研究の結果

研究結果を要約すると、以下の通りです。

(a) これまで「semantic clusteringが学習を阻害する」と考えられてきたが、事後テスト得点において、そのような結果は得られなかった。

(b) しかし、意味的に関連がある単語の方が、そうでない単語よりも、より多くの干渉エラーに結びついた。すなわち、weasel(イタチ)という単語を和訳することが求められた時に、「イタチ」ではなく別の哺乳類の名前(アライグマやカワウソなど)を答えてしまうことが多かった。

(c) 意味的に類似した単語と類似していない単語のいずれにおいても、分散学習は集中学習よりも効果的だった。しかし、「意味的に類似した単語を学習する上では、特に分散学習が効果的である」という仮説とは反対に、分散学習は意味的に類似していない単語の学習に特に有効であった。

コメント

本論文は所定の費用を支払うことでopen accessとして無料で公開されています。「意味的に似た単語を一緒に学ぶのは良くない」というのは語彙習得研究者の間では長い間定説になっていましたが、その定説に疑問を投げかけたという点で、色々な方に読んでいただきたいと思い、open accessにしてもらいました。

書籍『英単語学習の科学』が研究社から発売されました

書籍『英単語学習の科学』が研究社から発売されました。

 

効果的な英単語の学習法や教授法について、最新の研究を元に解説しています。

 

出版社による内容紹介は以下の通りです。

 


 

著者:中田達也

 

版元:研究社

 

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「単語帳で暗記しても実用英語には活用できない」「単語集ではなく文脈で覚えることこそ正しい」「忘れる前に復習しないと覚えられない」「選択問題をやっても語彙学習には役に立たない」などなど、ちまたにはびこる間違った「常識」をばっさり斬って、本当に効果的な英単語学習法・教授法をとことん解説。最新の第二言語習得研究の成果を紹介しながら、本当に役立つ英単語の覚え方を考察。多くの英語学習者・英語教師が待ち望んでいた英単語学習法のエッセンス集。

 


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編著者として関わったTOEIC書籍「TOEIC L&R TEST ベーシックアプローチ」が発売されました

編著者として関わったTOEIC書籍が発売されました。詳細は以下の通りです。

書名『TOEIC L&R TEST ベーシックアプローチ』

安河内哲也 監修 / 土屋知洋 編著 / 中田達也 編著 / 中西のりこ 著 / 仁科恭徳 著 / 中川右也 著

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TOEIC L&R TEST ベーシックアプローチ

TOEIC L&R TEST ベーシックアプローチ

記憶術:復習間隔を少しずつ大きくしていく学習法は長期的な記憶保持を促進するのか? Part 2

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(写真はWord Engineのwebサイトより)

前回の記事では、1970年代~1980年代に行われた研究を元に、「復習間隔を少しずつ大きくしていく学習法は、語彙習得に効果的である」と主張することは妥当でない可能性がある、ということを述べてきました。

今回は、1990年以降に行われた近年の研究を元に、「復習間隔を少しずつ大きくしていくスケジュールは効果的なのか?」という点について引き続き検討したいと思います。

拡張分散学習に関する近年の研究:1990年以降

拡張分散学習の効果に関しては、1990年以降にも数多くの研究が行われています。近年の研究では、Landauer & Bjork (1978)とは反対に、「拡張分散学習は長期的な記憶保持を必ずしも促進しない」という結果も得られています。

拡張分散学習(復習間隔を少しずつ大きくしていくスケジュール)と均等分散学習(ある学習項目を一定の間隔で繰り返すスケジュール)を比較した研究の結果をまとめると、以下の通りになります。

(1) 拡張分散学習の方が均等分散学習よりも効果的(7研究)
Cull et al., 1996; Dobson, 2011; Karpicke & Roediger, 2007; Landauer & Bjork, 1978; Maddox et al., 2011, Exp 2; Logan & Balota, 2008; Storm, Bjork, & Storm, 2010

(2) 拡張分散学習と均等分散学習との間に大きな差はない(10研究)
Balota et al., 2006; Carpenter & DeLosh, 2005; Cull, 2000; Kang et al., 2014; Karpicke & Bauernschmidt, 2011; Karpicke & Roediger, 2010; Maddox et al., 2011, Exp 2; Nakata, 2015; Pyc & Rawson, 2007; Shaughnessy & Zechmeister, 1992

(3) 均等分散学習の方が拡張分散学習よりも効果的(3研究)
Cull, 2000; Karpicke & Roediger, 2007; Logan & Balota, 2008

上の一覧に示した通り、7つの研究では、拡張分散学習の方が均等分散学習よりも効果的(= 復習間隔を少しずつ大きくしていくことは記憶保持を促進する)という結果が出ています。一方で、10個の研究では、拡張分散学習と均等分散学習との間に大きな差はない(= 復習間隔を少しずつ大きくしていくことは記憶保持を促進しない)という結果が得られています。残りの3つの研究では、均等分散学習の方が拡張分散学習よりも効果的(= 復習間隔を少しずつ大きくしていくことは記憶保持を阻害する)という結果です。

このように、研究によって得られた結果はまちまちです。なぜ、これまでの研究の結果は一貫していないのでしょうか? その理由として、「拡張分散学習の効果は、少なくとも2つの要因に左右されるからである」という指摘があります (Balota et al., 2007; Dobson, 2012; Karpicke & Roediger, 2007; Logan & Balota, 2008; Maddox et al., 2011; Roediger & Karpicke, 2010; Storm, Bjork, & Storm, 2010)。

具体的には、「フィードバックの有無」と「事後テストのタイミング」という2つの要因が、拡張分散学習の効果に影響すると指摘されています。この2つの要因について、見ていきましょう。

「フィードバック」とは、想起練習の後に提示される正解のことです。例えば、「appleとはどういう意味ですか?」と尋ねられ、その正解(りんご)が学習者に提示された場合、フィードバックがあります。一方で,正解が学習者に提示されない場合、フィードバックはありません。

拡張分散学習の方が均等分散学習よりも効果的であることを示した7つの研究では、いずれも想起練習の後にフィードバックが提供されていません。一方で、想起練習の後にフィードバックが提供されている研究では、拡張分散学習の有効性は示されていません。

この結果から、「想起練習の後にフィードバックが提供されない場合に限って、拡張分散学習は記憶保持を促進する」という傾向が読み取れます(なぜフィードバックの有無が拡張分散学習の効果に影響するのかという点に関しては、こちらの論文をご覧下さい)。

2つめの要因は、事後テストのタイミングです。これまでの研究では、事後テストが学習から24時間以内に実施された場合に限って、拡張分散学習が記憶保持を促進するという傾向が見られます。言い換えれば、学習から24時間以上経過して行われたテストでは、拡張分散学習の有効性はほとんど示されていません。すなわち、「拡張分散学習は短期的な記憶保持を促進する可能性があるものの、長期的な記憶保持は促進しない」ということです(なぜ事後テストのタイミングが拡張分散学習の効果に影響するのかという点に関しても、こちらの論文をご覧下さい)。

一方で、「均等分散学習は短期的な記憶保持を促進しないものの、長期的な記憶保持を促進する」という研究結果もあります(Karpicke & Roediger, 2007)。Karpicke & Roedigerは2007年に、”Expanding retrieval practice promotes short-term retention, but equally spaced retrieval enhances long-term retention.”という論文を出版していますが、この論文のタイトルにある通り、「拡張分散学習は短期的な記憶保持を促進するが、均等分散学習は長期的な記憶保持を促進する」ということです。

これまでに行われた研究を検討してみると、「想起練習の後にフィードバックが提供されていない場合に限って、拡張分散学習は短期的な記憶保持を促進するが、長期的な記憶保持は阻害する可能性がある」ということがわかりました。この結果を元に、「復習間隔を少しずつ大きくしていくスケジュールは長期的な記憶保持を促進する」と主張することは、無理があるように思われます。

第1に、想起練習の後にフィードバックが提供されていない場合に限って、拡張分散学習が記憶保持を促進することが示されていますが、想起練習の後にフィードバックが与えられない状況というのは、外国語学習ではあまり一般的ではありません。例えば、「この単語の意味を以下の選択肢から選んでください」という問題を出しておきながら、その答えを教えてくれないような不親切な英単語学習ソフトは、あまり見たことがありません。また、単語帳や単語カードで学習をする際も、単語の意味が正しく思い出せなければ、答えを確認することが一般的でしょう(この点については、前回の記事もご覧ください)。

第2に、「拡張分散学習は短期的な記憶保持を促進するが、長期的な記憶保持は阻害する可能性がある」という結果が得られていますが、短期的にしか記憶保持を促進しない学習法が外国語学習者にとって有益なものとは考えられません。

一夜漬けをしなくてはならない等、特殊な状況は別ですが、外国語の単語を学習する目的は、その単語を長期的に保持することであるはずです。

拡張分散学習に関してこれまでに行われた研究の結果を考えると、拡張分散学習を効果的な語彙学習法として薦めることは、妥当ではないように考えられます。

第二言語語彙習得における拡張分散学習の効果

前項でご紹介した研究の多くは、実は外国語の単語学習を調査したものではありません。第一言語の単語や人名など、外国語の単語以外の項目を用いています。

外国語の単語学習において拡張分散学習の効果を調べた研究は、今のところ4つしかありません(Kang, Lindsey, Mozer, & Pashler, 2014; Karpicke & Bauernschmidt, 2011; Nakata, 2015; Pyc & Rawson, 2007; 学習に影響するであろう要因が統制されていないなど、方法論上の問題がある研究は除いています)。

第二言語語彙習得における拡張分散学習の効果を調べた研究では、いずれも拡張分散学習が長期的な記憶保持を促進するという結果は得られていません。

このように、拡張分散学習の効果は必ずしも実証されていないものの、「復習間隔を少しずつ大きくしていくスケジュールは効果的である」と主張する研究者は、第二言語語彙習得の分野にも多くいます。例えば、Norbert Schmitt, Nick Ellis, Jan Hulstijnといった世界的に著名な研究者も、拡張分散学習が語彙習得を促進すると述べています(e.g., Ellis, 1995; Hulstijn, 2001; Schmitt, 2000, 2007; Schmitt & Schmitt, 1995)。

ちなみに、第二言語語彙習得において最も広く読まれている書籍は、Paul Nationの”Learning vocabulary in another language” (Cambridge University Press)だと思いますが、2001年に出版された初版では、「拡張分散学習が語彙習得を促進する」という旨の記述がありました。しかし、2013年に出版された第2版では、「均等分散学習は、少なくとも拡張分散学習と同じくらい効果的」という記述に変更されています。

* 注
ちなみに、私が2015年に出版した論文(Nakata, 2015)のAbstract(概要)には、以下の1文があります。

“The finding is significant because this is the first second language study to find the superiority of expanding over equal spacing.”(本研究は、第二言語習得において拡張分散学習の有効性を初めて示した研究という点で、意義深い)

上の文章から、「Nakata (2015)では拡張分散学習が均等分散学習よりも記憶保持を促進するという結果が得られているのではないか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

確かにNakata (2015)の研究では、expandingのスコアの方がequal spacingのスコアよりも高い場合があり、その差は統計的に有意でした。しかし、以下の理由から差はあまりないと考えています。

・ expandingとequal spacingの間に統計的な有意差はあるが、効果量は小さい

・ productive testとreceptive testをしたが、有意差が出たのはproductive testのみ。

・ productive testとreceptive testでは、productive testのスコアの方が信憑性が高い

(receptive test の後にproductive testを実施したため、receptive test のスコアはproductive test に影響されている可能性がある。さらに、学習中のタスクはproductiveだったため、タスクと形式が一致しているproductive test の方が学習成果をより正確に反映している可能性がある)

Nakata (2015) の論文でも、上のような理由から、はじめは「expandingとequalでは差があまりない」と結論付けていました。

しかし、査読者の一人が「効果量は小さいといっても、有意差が出ているのだから、expanding > equalであることを強調すべき」 と指摘してきて、結論を渋々書き直したという経緯があります。以上、裏話でした。

参考文献

Bjork, R. A. (1994). Memory and metamemory considerations in the training of human beings. In J. Metcalfe & A. Shimamura (Eds.), Metacognition: Knowing about knowing (pp. 185–205). Cambridge, MA: MIT Press.

Bjork, R. A. (1999). Assessing our own competence: Heuristics and illusions. In D. Gopher & A. Koriat (Eds.), Attention and performance XVII: Cognitive regulation of performance: Interaction of theory and application (pp. 435–459). Cambridge, MA: MIT Press.

Ellis, N. (1995). The psychology of foreign language vocabulary acquisition: Implications for CALL. Computer Assisted Language Learning, 8, 103–128.

Hulstijn, J. H. (2001). Intentional and incidental second language vocabulary learning: A reappraisal of elaboration, rehearsal, and automaticity. In P. Robinson (Ed.), Cognition and second language instruction (pp. 258–286). Cambridge, UK: Cambridge University Press.

Kang, S. H. K., Lindsey, R. V., Mozer, M. C., & Pashler, H. (2014). Retrieval practice over the long term: Should spacing be expanding or equal-interval? Psychonomic Bulletin & Review, 21, 1544–1550.

Karpicke, J. D., & Bauernschmidt, A. (2011). Spaced retrieval: Absolute spacing enhances learning regardless of relative spacing. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 37, 1250–1257.

Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2007). Expanding retrieval practice promotes short-term retention, but equally spaced retrieval enhances long-term retention. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 33, 704–719.

Karpicke, J. D., & Roediger, H. L. (2010). Is expanding retrieval a superior method for learning text materials? Memory and Cognition, 38, 116–124.

Landauer, T. K., & Bjork, R. A. (1978). Optimum rehearsal patterns and name learning. In M. M. Gruneberg, P. E. Morris, & R. N. Sykes (Eds.), Practical aspects of memory (pp. 625–632). London, UK: Academic Press.

Logan, J. M., & Balota, D. A. (2008). Expanded vs. equal interval spaced retrieval practice: Exploring different schedules of spacing and retention interval in younger and older adults. Aging, Neuropsychology, and Cognition, 15, 257–280.

Nakata, T. (2015). Effects of expanding and equal spacing on second language vocabulary learning: Does gradually increasing spacing increase vocabulary learning? Studies in Second Language Acquisition, 37, 677–711.

Pashler, H., Zarow, G., & Triplett, B. (2003). Is temporal spacing of tests helpful even when it inflates error rates? Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 29, 1051–1057.

Pyc, M. A., & Rawson, K. A. (2007). Examining the efficiency of schedules of distributed retrieval practice. Memory & Cognition, 35, 1917–1927.

Rea, C. P., & Modigliani, V. (1985). The effect of expanded versus massed practice on the retention of multiplication facts and spelling lists. Human Learning: Journal of Practical Research & Applications, 4, 11–18.

Schmidt, R. A., & Bjork, R. A. (1992). New conceptualizations of practice: Common principles in three paradigms suggest new concepts for training. Psychological Science, 3, 207–217.

Schmitt, N. (2000). Vocabulary in language teaching. Cambridge, UK: Cambridge University Press.

Schmitt, N. (2007). Current trends in vocabulary learning and teaching. In J. Cummins & C. Davison (Eds.), The international handbook of English language teaching (pp. 827–842). Norwell, MA: Springer.

Schmitt, N., & Schmitt, D. (1995). Vocabulary notebooks: Theoretical underpinnings and practical suggestions. ELT Journal, 49, 133–143.

Schneider, V. I., Healy, A. F., & Bourne, L. E. (2002). What is learned under difficult conditions is hard to forget: Contextual interference effects in foreign vocabulary acquisition, retention, and transfer. Journal of Memory and Language, 46, 419–440.

Siegel, M. A., & Misselt, A. L. (1984). Adaptive feedback and review paradigm for computer-based drills. Journal of Educational Psychology, 76, 310–317.

Storm, B. C., Bjork, R. A., & Storm, J. C. (2010). Optimizing retrieval as a learning event: When and why expanding retrieval practice enhances long-term retention. Memory & Cognition, 38, 244–253.

注)本稿は、以下の論文をwebサイト向けに再編集したものです。
復習間隔を少しずつ広げていくことは長期的な記憶保持を促進するか? 先行研究の批判的検証 (pdf)